定款作成の際、業務用ソフトを使用することが殆どだが、正しい日本語が使われている保証はない。
ここでいう「正しい」とは、例えば、公用文作成レベルかどうか、のことなので、司法書士がそこをスルーしても定款認証も登記申請にも支障はない。とはいえ、「書士」としてお金をいただいて作成する以上は、より良い文を追求したい・・・と考え始めたところ、キリが無いうえに、どうでもよいこと、と言われる始末。
そんなことを記録しています。
(公告方法)
第〇条 当会社の公告は、官報に掲載してする。
第〇条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
ここは、悩ましいところ。法務局提供の定款見本は、「してする」派。公証役場は「する方法により行う」派。
業務用ソフトは、「してする」ベクトル。
私は、さきほど、今後は「する方法により行う。」で統一する決意をしました。
(目 的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1.・・・
2.・・・
3.前各号に附帯又は関連する一切の事業
この目的部分の最後、
「前各号に附帯又は関連する一切の事業」
「前各号に附帯する一切の事業」
法務局提供の定款例は、「前各号に附帯する一切の事業」、公証人連合会提供では「前各号に附帯又は関連する一切の事業」となっています。
私は使い分けています。「1人株主=1人取締役」の場合は、「前各号に附帯又は関連する一切の事業」としています。株主と取締役が一致しない、出資と経営の分離が明確で、目的の数も多く細かく記載される場合は、「前各号に附帯する一切の事業」方向になるのでしょうか?
次に、目的部分の数字「1」「2」・・・を「1.」「2.」・・とするか、しないか?まさに重箱の隅!どうでもいいことですか?せっかくなので進めます。
これまで気づかなかったのですが、法務局、公証人連合会 いずれの記載例は、「1 」「2 」・・としており、「.」を用いていません。公証人連合会提供の定款記載例(補足説明付き)の目的部分において「(注)『目的』は、『1』、『2』、『3』等と記載するのが登記先例となっています」とあります。これはどういう意味の先例なのか?単なる目的の羅列ではなく、番号を振りましょう、という意味?それとも(1)、(2)でもなく、①②でもなく、漢数字でもないよ、という意味?
それらしき先例を探してみましたが見つかりません。
というか、疑問すら生じたことがありませんでし、多くの登記は「1.」「2.」・・・としていて、「.」抜きを定款見本とする法務局サイトの登記事項証明書見本の目的欄も「1.」「2.」・・となっています。これはいったいどういうことなのか?
スムーズなオンライン登記申請を推奨する以上は、目的部分の番号振りも統一させる注意書きがあった方が良いと思うのですが。なお、東京法務局管内における基本的記入方法一覧の目的部分についての引き直し事項では、例として「1 〇〇の販売2 △△の企画運営」(改行なし)を適切な位置での改行 とあるだけで、「1.」ではなく「1(スペース)」にして下さい、などのような記載はありませんね。
ここは、従来どおり「1.」「2.」・・・で作成し続けます。ちなみに公証人連合会提供の「定款作成支援ツール」を使用すると、「.」無しになると思います。私が使用している業務用ソフトは、「.」については選択できるようになっています。
(最初の事業年度)
第〇条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和〇年〇月〇日までとする。
第〇条 当会社の最初の事業年度は、当会社設立の日から令和〇年〇月〇日までとする。
この違いがわかりますか?まあ、そもそもこの条項なんて入れないよ、という人はさておき・・・ 「成立」「設立」どちらを使用しますか?まれに「設立」としている定款を目にしますが、多くの方は「成立」としていると思います。
会社法参照
(株式会社の成立)
第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(持分会社の成立)
第五百七十九条 持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(定款に定めのない事項)
第〇条 本定款に定めのない事項については、すべて会社法その他の法令の定めるところによる。
私の使用する業務ソフトは、「すべて」となっています。公証人の方に指摘をされて以来、毎回手作業で「全て」に訂正をしています。
(株主の住所等の届出等)
第〇条 当会社の株主、登録株式質権者又はその法定代理人もしくは代表者は、当会社所定の書式により・・(省略)・・・届け出なければならない。
私の使用する業務ソフトは、「もしくは」となっています。毎回、「若しくは」と訂正しています。
(招 集)
第〇条 当会社の定時株主総会は(省略)・・・招集する。
② 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、取締役の過半数の決定により社長がこれを招集する。社長に事故、もしくは支障があるときは、あらかじめ定めた順序により他の取締役がこれを招集する。
「事故、もしくは支障」となっています。ここを、毎回、「事故又は支障」と訂正しています。