自筆証書遺言保管制度を利用する場合
自筆証書遺言の要件緩和の民法改正とともに、法務局による遺言書保管制度のの創設が検討され、法務局による遺言書の保管等に関する法律案が国会に提出されました

遺言者が亡くなった後はこちら

 

自筆証書遺言書保管制度開始

遺言を法務局で保管してもらう制度=自筆証書遺言保管制度

 

この制度を利用して遺言書を保管しようとする方は、まずは予約が必要です。
完全予約制です。
予約は令和2年7月1日からで、 電話の他、ネット予約も可能です。ネットは24時間受付可能です。

 

法務局(遺言書保管所)では、遺言書作成に関する相談は行っていません。
形式的な保管要件を確認する作業のみ行われます。

 

遺言書作成者本人が行く必要があります。
代理はできません。

 

厳格な本人出頭主義がとられており、遺言者本人が病気で出頭できない、そのような場合はこの保管制度を利用できません。

 

なお、付き添いの人が同伴することは可能です。

 

自筆証書遺言保管申請手数料

保管申請手数料は、
遺言書1通 3900円です。

 

この手数料は、保管する年数に関係ありません。何年保管しても、3900円の定額です。

 

手数料納付用紙に収入印紙を貼り付けして納付します。割印はしません。
収入印紙は、法務局内で購入することも可能です。

 

死亡時の通知の希望

遺言者である自分が死亡したときに、法務局(遺言書保管官)が死亡の事実を知ったとき、遺言書を保管していることを、通知してもらうことができます。

 

この制度は、実に画期的だと思います。

 

仕組みは次のとおりです。
①遺言者が遺言書を保管する際に、自己の氏名、生年月日、本籍、筆頭者の氏名の情報を戸籍担当に提供すること
②遺言者の死亡後に、死亡事実などを法務局(遺言保管官)が戸籍担当から取得する
①②について、遺言者が保管時に申請書記載欄で同意するします。
そして、あらかじめ遺言者が指定した者に、通知を発します。

 

ただ、この死亡時の通知は、1名のみです。
受遺者、遺言執行者、推定相続人、いずれか1名です。
その後の改正により、通知先の指定は、3名まで可能で、資格の限定はなくなりました。既に1名を通知指定して保管している人も、通知先の指定数を増やす変更の届出をすることができます(このように、この制度は、今後も変更があると思うので、随時、直接、法務局のサイトで確認してください)。

 

ネット予約

ネット予約は24時間可能です。
はじめに利用登録を行う方法もありますが、登録せずに予約申し込みすることもできます。

 

利用登録をする場合、利用ID・パスワードは、自分で設定します。
利用登録をせずに予約する場合は、利用ID・パスワードは、自動発行され、メールで通知されます。
いずれにせよ、メールアドレスは必須となり、予約前に、「【連絡先アドレス確認メール】」、予約後に「【遺言書保管手続予約】 予約完了メール」が届きます 予約完了メールには、予約番号とパスワード、さらに予約内容照会URLがあります。
予約完了メールは、Gmailとかだと、プロモーションフォルダに区分されてしまう場合もあると思われるので、届かないな、と思った場合は、そちらのフォルダも確認した方がよいかもしれません。

 

 

パスワードは、英大文字、英小文字、数字、記号のうち、3種類を使用、桁数は、10文字以上です。

 

予約申し込みをネットでする場合、条件に合う法務局を選択して、空いている(予約可能として〇がついている)枠を選択して手続きを行います。予約画面上は、9時、10時、14時、15時 の枠を選択するようになっています。
11時、12時、13時の枠は予約受付時間外として選択できないようになっています。当日分を予約することはできません。 
時間枠は、30分です。

 

 

法務局(施設)選択 ⇒ 予約申込に関する事項の同意チェック ⇒ 予約時間選択 ⇒もう一度予約時間枠選択(〇が?に変わる) ⇒ 予約する
という流れですが、スマホ画面だと見にくい感じがします

 

予約キャンセルも、ネット上から可能です。

 

予約した時間を10分過ぎると自動キャンセルとなるようです。

 

 

ネット予約の場合、前日に「【遺言書保管手続予約】 予約確認メール」が来ます。

 

遺言書保管の際は顔写真付きの本人確認資料が必須

本人確認資料は、顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。
運転免許証、マイナンバーカードなどの顔写真付の証明書を持っていない場合は、利用できません。
以下にあるように、必ず「本人の写真が貼付されたもの」のみで、銀行口座開設時のような複数手段の合わせ技はできません。

 

法務局における遺言書保管等に関する省令
(遺言書保管官による本人確認の方法)
第十三条法第五条(法第六条第四項及び第八条第三項、令第四条第四項及び第十条第六項並びに第十九条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定による提示若しくは提出又は説明は、次のいずれかの方法によるものとする。
個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)、運転免許証(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項に規定する運転免許証をいう。)、運転経歴証明書(同法第百四条の四第五項(同法第百五条第二項において準用する場合を含む。)に規定する運転経歴証明書をいう。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券及び同条第六号に規定する乗員手帳をいう。ただし、書類の提示を行う者の氏名及び出生の年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第十九条の三に規定する在留カードをいう。)又は特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第七条に規定する特別永住者証明書をいう。)を提示する方法
前号に掲げるもののほか官公署から発行され、又は発給された書類その他これに類する書類(氏名及び出生の年月日又は住所の記載があり、本人の写真が貼付されたものに限る。)であって、当該書類の提示を行う者が本人であることを確認することができるものとして遺言書保管官が適当と認めるもの

 

これにより、顔写真付きの本人確認(身分証明書)を持っていない場合は、遺言書保管制度を利用することはできません。
法務省HP上のQ&Aにも、「本人出頭義務を課していることから、なりすまし防止する必要があるため、顔写真付き身分証明書の提示が必須となります。例えば、マイナンバーカードであれば、誰でも取得できますので、ご検討願います」と明記されています。

 

 

 

 

遺言書の保管申請書

自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書は法務省のサイトもにあります。
もちろん、法務局の窓口にもあります。

 

サイトからダウンロードして使用する場合は、PC上で各項目を入力することができます。
これを印刷して持ち込む場合は、印刷時に注意が必要です。
法務省サイトでも、「申請書等の様式の印刷方法について」として、細かく指示がされています。
必ず一読した方がよいと思われます。

 

ダウンロード元はこちら http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00048.html の一覧の上の方にあり

 

遺言者欄は、署名のみでも可 記名の場合は押印要(認印可)

 

 

直接、パソコンで打ち込む場合も、注意が必要です。
日付などは半角 全角で打ち込むとその都度エラーが出ます。
住所は全角で、番地等の数字を誤って半角で打ち込んでいると、せっかく一行打ったのに、その一行全てがエラーで消えてしまいます。

 

その他注意

保管させる遺言書は、ページが複数枚あってもホチキスはとめません。

 

封筒は不要です

 

先述のとおり、顔写真付き本人確認書類が必要ですので、お持ちでない方は、早々にマイナンバーカードなどを取得しておく必要があります。

 

一度保管された遺言書は、本人であっても、保管撤回をしない限り、返してもらうことはできません。保管撤回をしたとしても、遺言書それ自体は有効です。遺言書自体が無効になるわけではありません。
なお、相続人も、遺言書原本を自宅に持ち帰ることはできません。

 

 

保管証の再発行はできません

遺言書の保管を行うと「保管証」が発行されます。

 

保管証を紛失しても、再発行はできません。しかし、保管証がなくても、その後の手続自体は可能です。

 

氏名・住所変更の届出

遺言者は、自己の氏名・住所に変更があった場合は、その旨を遺言書保管所に届け出る必要があります。
手数料はかかりません。
変更申出書の他に、住民票・戸籍などの変更があったことを証する書面、場合によっては届出人の本人確認書類を添付します。

 

全国どこの保管所に届出してもかまいません。例えば、さいたまで保管していても、千葉で変更届出は可能です。
この届出を窓口で行う場合は予約が必要です(郵送が便利かもしれません)。

 

 

 

遺言者が亡くなった後はこちら

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