連帯債務者の死亡による抵当権の変更

本件記事は修正予定あり

亡Aの相続財産の中に不動産がある場合、相続人に名義を変更する相続登記が必要。
登記をよく見ると抵当権がついていて

債権額 金2,000万円
 利息 (省略)
 損害金 年14%年365日日割計算
 連帯債務者 A
         B
 抵当権者 甲銀行

のうように 「連帯」債務者の表示。この場合、銀行と打ち合わせをして連帯債務者の変更の登記も必要です。

 

連帯債務とは

連帯債務は、A B が独立して2000万円の債務を負う。AB間で最終的に負担する債務は別として、甲銀行は、ABどちらに対しても2000万円の請求ができる。この請求は同時にも行うことが可能。
付従性・随伴性・補充性なし。
連帯債務は、債務者ごとにそれぞれ別の債務が存在するので、Aの甲銀行に対する2000万円の債務、Bの甲銀行に対する2000万円の債務、債務が2本存在する。甲銀行は、Aに対する2000万円の債務だけを譲渡することも可能である。

 

2020年4月1日に施行された改正法により(この契約が同日以降になされたとして)
甲銀行がBに対して債務の免除を行った場合でも、Aはなんら影響を受けずそのまま2000万円の債務を負う(免除の相対効)。もちろん請求に応じて支払ったAは、Bに対して1000万円を求償できる(1:1の場合)。

 

連帯債務の相続

連帯債務者ABのうち、Aが死亡、その相続人がBCDの場合で検討(妻B子CD)。
連帯債務者Aの債務は2000万円
法定相続分により、B1000万円 C500万円 D500万円 の連帯債務を相続する。
これにより

連帯債務者B(当初の2000万円)
そして、当初の連帯債務者Aの相続開始により
連帯債務者B(1000万円) 連帯債務者C(500万円) 連帯債務者D(500万円)

計4本
仮に、債務は全てBが相続する旨の遺産分割協議を行っても、甲銀行の承諾がない限り、相続人は甲銀行からの請求を避けることはできない。
さらに、Bが甲銀行へ1000万円弁済しても、Cは債務を免れない。

 

登記の目的 抵当権の変更
原因 年月日連帯債務者Aの相続 *年月日相続ではない
変更する抵当権 年月日受付第1234号
変更後の事項 
 連帯債務者 住所 B
         住所 C
         住所 D
権利者 甲銀行
義務者 B(亡A名義の不動産をBへ相続登記済み)

 

銀行と「免責的債務引受契約(CDの連帯債務をBが引き受ける=CDは免責」を締結した場合は、この後、抵当権の変更登記を行う

登記の目的 抵当権変更
原因日付 年月日連帯債務者C、Dの債務引受
変更後の事項
 連帯債務者 住所 B *この場合は債務者ではない∵債務2本
cf.登記識別情報は必要!・印鑑証明書は不要(事前通知の場合を除く)

 

相続により新しく入った連帯債務者が引き受ける場合

亡Aの連帯債務を相続したBCDのうち、CがBDの債務を引き受ける場合はどうなるのか
Cが引き受けるのは、亡Aから相続した債務であり、結果、連帯債務者B(当初)及び連帯債務者C となることを想定。
悩みどころは、原因部分。

原因 連帯債務者Aの相続債務(について)年月日連帯債務者BDの債務引受?
原因 年月日連帯債務者Aの相続年月日連帯債務者BDの債務引受??
原因 年月日連帯債務者A相続人DBの債務引受???
原因 年月日連帯債務者DBの債務引受????
変更後の事項 連帯債務者C

どれでしょうか?

この記事は訂正予定あり

 

免責的債務引受の注意点

債権者(甲銀行)と引受人(C)の契約→効力発生は債権者(甲銀行) から債務者(BD)への通知 設定者Bの承諾

通知の到達日が原因日付となる。but実務上は同日契約で

 

債務者(BD)と引受人(C)の契約+債権者(甲銀行)の引受人(C)に対する承諾

 

免責的債務引受契約書を作成する場合、甲銀行への差し入れ方式であっても、「甲銀行とBCDは債務引受人が下記債務を免責的に引き受けることを合意した」などと、記載することが多いのでは?
相続で、担保提供者になっているBは、(仮にBCD3名で既に引受の合意がなされていたとしても)、後日債務引受契約の当事者となって銀行主導の契約書に押印をすることになるから、実務上は、三面四面契約になることが多いはず。

 

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相続放棄について

このような場合、連帯債務の負担を恐れて、あるいは、銀行の同意を得られたとしても手続きが面倒だと考えて、不動産を相続する予定のない子CDは、相続放棄(家裁)を行い、相続関係から脱却することも考えられる。しかし、結論を急いではならない。
債務超過ならともかく、子全員が行う相続放棄は、法定相続人の構成に重大な影響を及ぼす。
子全員が相続放棄を行えば、亡Aの妻Bが債務も含む全ての財産を承継するとして上記のようなわずらわしい作業をしなくても良いとも思えるが、大半は勘違いであることが多い。
子全員が相続放棄を行ってしまうと、祖父母が存命中は、子に代わり祖父母が妻Bとともに相続人となる。祖父母が既に他界している場合は、Aの兄弟姉妹が子CDに代わり相続人となる。祖父母も兄弟姉妹も子と同様に相続放棄を家裁で行えば良いが、そうでない場合は、さらに手続きは複雑になり、預金などのプラス財産の相続手続きにも影響を及ぼします。

 子全員の相続放棄は慎重に 

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