郵便貯金の相続手続-権利消滅制度に注意
郵政民営化(平成19年10月1日)前に預入した低額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金等の定期性のある郵便貯金は、権利が証明して払い戻しができなくなるおそれがあります。

ゆうちょ銀行窓口での正式な相続手続を行わずに、引き出しのみで終わらせた場合は、注意が必要です。

 

我々が遺産承継業務の一環として、ゆうちょ銀行で相続手続を行う際は、必ず、他に預貯金登録が無いか、相続人からの委任に基づき、把握している旧住所も提示しながら、名寄せ照会をかけます。

 

一般の相続人が、銀行の相続手続は面倒だから・・・という理由で、発見した通帳、カードと暗証番号による引き出しのみですませた場合は、他の預金は放置されてしまうリスクを伴います。もちろん、金融機関からは、定期的にお知らせ等のハガキが来ることがありますが、故人が住所変更を怠ったまま放置していた場合は、その機会を失うことになります。

 

とりわけ、郵政民営化前に預けた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金など一定の貯金には、預入期間満了の翌日から20年間払い戻し等の無い場合は、権利が消滅するという制度がありますので、注意が必要です。 詳細はゆうちょ銀行・郵便局貯金窓口へお問い合わせください。

 

郵便貯金の権利消滅制度

平成19年10月1日付郵政民営化より前に預けた定期性ある郵便貯金は、満期後20年2か月経過すると、払い戻しが受けれなくなります。

 

郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
附則
第5条
この法律の施行の際現に存する次に掲げる郵便貯金については、旧郵便貯金法(第一条・・・省略・・条を除く。)の規定は、なおその効力を有する。

 

旧 郵便貯金法
(貯金に関する権利の消滅)
第29条 第40条の2第1項の規定により貯金の預入又は一部払戻しの取扱いをしないこととされた通常郵便貯金について、その後10年間その貯金の全部払戻しの請求(同条第2項の規定により貯金の全部払戻しの請求とみなされるものを含む。)がない場合において、公社がその預金者に対し貯金の処分をすべき旨を催告し、その催告を発した日から2月以内になお貯金の処分の請求がないときは、その貯金に関する預金者の権利は、消滅する。

 

 

郵政民営化が平成19年10月1日であり、そこから10年経過した現在は、すべての定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金は、満期を過ぎている、ということになります。
満期後10年経過する時、満期後20年が経過する時には、権利消滅対象の郵便貯金がある旨及び払い戻しの手続きに関する案内が送られてくるはずです。

 

住所・氏名変更の届出をしていない場合は、これらの重要な案内が届かないおそれがあります。
正式な相続手続を怠っていた場合も同様のリスクがあります。

郵便貯金の権利消滅制度詳細は、直接、ゆうちょ銀行・郵便局貯金窓口へお問い合わせください。

 

 

 

なお、他の金融機関における相続手続についても同様ですが、通帳・証書などが見当たらない場合でも、名寄せ照会・現存調査は行うことができます。その際、戸籍等の一定の書類を揃える必要があります。

 

時期によっては、速やかに相続手続に必要な戸籍等を集める必要があるでしょう。

 

金融機関での面倒な相続手続は、銀行出身司法書士小宮愛子へおまかせください。

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