亡くなった方宛に、株主名簿管理人である信託銀行などの金融機関から株式に関する書類が届いていることがあります。
例えば、「〇期末配当金領収証」、「期末配当金計算書」です。
そこには、株式会社の名称、所有株式数が記載されています。
この場合、亡くなった方は、そこに記載されている株式会社の株を所有しており、その相続手続が必要です。
郵送物に記載されている信託銀行へ電話をして、株の所有者が死亡した旨、相続手続書類の郵送を依頼します。
2009年の株式電子化の際に、一時的に信託銀行などに開設された口座にある株式の相続手続は、銀行預金等の相続手続とは異なります。
特定の相続人に承継させる場合
まずは、その相続人は、受け皿として証券会社等に「一般口座」を用意する必要があります。
証券会社の一般口座は、銀行の普通預金と異なり、誰でも持っているというわけではありません。わざわざ相続手続のために口座開設することになります(後述のケースを除く)。
なぜなら、亡くなった方の株式を管理していた特別口座は、一時的なものであり、その性質上直接株式の取引をできる口座ではありません。そこにある株式を、仮に、生前売却しようした場合は、前もって、証券会社に取引口座を作成して、そこへ振替をする手続が必要でした。
そして、「特別」口座から振替することのできる口座は、「一般」口座のみとされています。「特定」口座への振替はできません。
なので、この特別口座で管理されている株式を承継する相続人は、自分が一般口座を持っているのかを確認する必要があります(単元未満株式買取請求予定を除く)。
この一般口座のことは、信託銀行から郵送された「口座振替請求書」の振替先口座明細欄へ記入します。
なお、
被相続人の出生までの戸籍一式、相続人全員の戸籍、又は法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書などの相続関係証明書類は、銀行などで行う預貯金の相続手続で使用するものと同じです。各手続先が指定する印鑑証明書などの有効期限に注意して、期限が短い機関から手続を行うと良いでしょう。
相続人が、上場株式の保有よりも、その資金化を望む場合、
特別口座で管理されている株式の「数」に注意が必要です。
特別口座で管理されている上場株式の相続手続は、一般案内としては、証券会社にある相続人の一般口座へ株式を振り替える方法で行います(死亡日により異なります)。
しかし、一般口座へ振替が終わり、いざ、売却しよう、と思っても、それを売却できない場合があります。
単元株式数の定めがある場合です。
例えば、20株を今回の相続で取得しても、売買単元株数が100株となっていたら、このままでは売ることはできません。
では、どうすれば資金化できるのか。
株式会社に対して、「単元未満株式買取請求」を行うことになります。
この場合、特別口座株式の相続手続においては、一般口座への「口座振替依頼書」ではなく、「単元未満株式買取請求の取次依頼書」を提出すれば足りるケースが多いのです。
一般口座をわざわざ開設する前に、検討すべき事項です。
これら一連の手続は、金融機関窓口によって案内が異なるケースがあり、士業が行う際も、担当者あるいはその本部と確認交渉を行いながら進めることがあります。
具体的内容は、各金融機関へ問い合わせが必要です。
金融機関での面倒な相続手続は、銀行出身司法書士小宮愛子へおまかせください。